【男なのに、妊娠してしまう……禁忌のふたなりファンタジー】
もうずいぶん前から、きみに焦がれていた。きみだけを……。
医学部志望の篤史は、親友の虹太が可愛くてたまらない。美少女のように甘やかな美貌、誰より細いその体が。
だが、高まってしまった思慕を篤史は、虹太にも誰にも伝えないと誓っていた、一生。ただ側にいられさえすればよかった。
ところがある日、虹太が彼の前から姿を消す。篤史がようやく見つけだすと、虹太は思いつめた顔で、告げた。
自分は超人一族の末裔で、身体こそ少年だが、子供も産めるのだと――死んだ祖母の遺言でわかったという。
一族に穢されるための“女”だから、もう君とは一緒にいられないと、口移しに篤史に睡眠薬を飲ませながら……。
眠りの闇に堕ちゆく寸前、篤史の心が軋んで悲鳴をあげた。こんなにも虹太への想いで充満しているのに、なぜ引き裂かれる?
そして自分のことのように感じていた。一族の魔の手にねじまげられ、支配され、蹂躙される虹太の哀しみを――――鹿住槇、衝撃のふたなりファンタジー。(表紙イラスト:川原望)