あらすじ(何も知らないで、あんな目つきをして――あんな歌を歌って――あんな表情をして……放っておいたら、この人は、どうなってしまうんだろう) 幼い頃の不幸な事故によって、両親も家も健康も、人並みの容貌すらも失った黒田吾郎は、さまざまな紆余曲折を経て、最初は殺しても飽き足らぬほど憎んでいた俊一を、密かに、ねじまげられ押し込められた熱情でもって愛するようになっていった。 その想いは、他人には到底理解され得ない屈折した異常なものであったが、黒田の生きる理由であり、唯一の楽しみでもあった。 そして黒田は、渥美公三が俊一に残虐な暴行を加えたことで、秘密裡に渥美を《死刑》にしようと決心し――?