あらすじ恋愛やセックスに溺れない人間には、相手が溺れこんでくるという奇妙な原理―― セックスするとき、それまでおさまりかえった顔をしていたお偉方が服を脱いで素裸になり、思いがけない裸や顔を見せる、それを眺めるのが透は大好きだった。 そんなだから性に溺れるはずがなかったし、誰かに執着することもなかった。 だから透は、それが本気の恋だと自覚はしていたが、決して告げることはないと思っていた。「友達だよ」と嘘をつき続けることで、永遠に彼…矢代俊一…の側にいられる気がしたのだ。だがバーで隣に座った、俊一の愛人、金井恭平に詰め寄られ、逃げ場を失ってしまう。