哲学者にして宗教学者の著者によるポール・リクールについての研究をまとめた博士論文を刊行したもの。フランス・スピリチュアリスムなどフランスの思想を踏まえ、「自由」や「悪」といった実存的問題も扱う。シモーヌ・ヴェイユの思想もその射程に入れる。
【目次】
序文
第一章 宗教の両義性と宗教的行
一 見えない世界と深さの次元
二 宗教の両義性
三 宗教的行について
第二章 象徴と生の宗教的次元
一 「失われた次元」と象徴の問題
二 象徴の規準
三 象徴と言葉
四 象徴と生
第三章 宗教的言語の特性
緒論
一 宗教的言語と非神話化
二 言語における指示の問題と宗教的言語
三 啓示と原初的宗教言述
四 譬
五 想像力と超越の問題
第四章 想像力と超越の問題
緒論
一 知覚と想像力
二 想像力の超越作用
三 想像力と悪
四 悪と超越の問題
第五章 宗教現象学と解釈学
一 現象学と解釈学
二 宗教現象学
三 象徴の解釈と宗教現象学
四 象徴の非神話化
五 象徴と非神秘化としての解釈
結語 問われてくる幾つかの問題
第六章 諸解釈の葛藤
一 言語の危機と対立する二つの解釈
二 意味の回復としての解釈
三 非神秘化としての解釈
四 解釈と反省
第七章 象徴と自由 「隷属的でない労働の第一条件」について
一 善と必然性の間
二 虚無と想像力と宗教
三 象徴と注意力
第八章 同意の地平
一 情念と隷属意志の構造
二 有限性の哲学的人間学
三 道徳的意識のパトロジー
四 「同意」の地平
第九章 悪の象徴論
一 悪の原初的表現
二 悪の基底的現象としての穢れ
三 悪の二つの側面 悪の神話
四 悪における自由とデモーニッシュなもの
第十章 心身関係における想像力の位置と自由の問題
一 心身の繋がりとその媒介者
二 決断の構造
三 動機としての欲望と想像力
四 決断における注意力と自由の問題
索引
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