本書ははげしい論争がくりかえされてきたイギリス封建制の起源および性格にかんして、巨大なスケールと緻密な実証を兼ね備えた名著として名高く、二十世紀史学がいまなお乗り越えられない十九世紀古典学説の金字塔である。すなわち、著者は荘園の起源をアングロ・サクソン文明の伝統に求めるゲルマニストの立場に立ちながら、荘園のもつ共同体的性格と近代個人主義との差異をあざやかに描き出している。巨匠の名にふさわしくヴィノグラードフの中世像の全容をあますところなく示している書である。
【目次より】
序文
第一篇 サクソン以前の時代
第一章 ケルトの種族制度
第一節 血族制
第二節 土地保有
第二章 ローマの影響
第一節 ローマ人とブリタニアのケルト人
第二節 土地の私有と課税
第三節 領地
第一篇への註
第二篇 古サクソン時代
第一章 サクソンの征服
第一節 サクソンの定住に関する一般的見解
第二節 身分と階級
第二章 人民の集団
第一節 血族
第二節 聚落
第三章 聚落における分前
第一節 賦課単位としてのハイド
第二節 耕地単位としてのハイド
第四章 開放耕地制
第一節 農耕上の諸制度
第二節 聚落の機構
第五章 保有の歴史
第六章 マナーの起源
第二篇への註
第三篇 封建時代
第一章 ドゥームズデイ調査の諸原理
第二章 所有権と農耕
第三章 社会階級
第三篇への註
ヴィノグラードフの略歴・著作目録 鈴木利章
あとがき 富沢霊岸
※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。