手帳を置いても、刑事は刑事だ!
ラブラドール・レトリバーのナインと山小屋で暮らす元刑事・村瀬の前に、突然見知らぬ青年・秋山亮が現れた。
「悪いが、しばらくの間、彼の世話を頼む」と書かれた手紙を持って。
手紙の主は、京都左京署時代にコンビを組んでいた刑事・柳智也。
元相棒の勝手な振る舞いに戸惑う村瀬は柳に連絡を取ろうとするが、まったく電話に出ない。
嫌な予感を覚えつつも、預かる理由が分からないまま、秋山の面倒を見る羽目に――。
柳の身を案じ、ひとりで捜し始めた村瀬は、なぜか京都市南部に古くから大きな勢力を持っている暴力団・条南興業から圧力をかけられる。
さらに、条南興業の敵で、北部を縄張りにする北天会のナンバー2である阿佐井峻が姿を見せ、村瀬を手助けすると言い出した。
いったい理由はなんなのか?
困惑する中、村瀬の後輩刑事・三島翔太から電話が入る。
「秋山亮が死体で見つかった」と――。
預かっている青年と殺された男は、同姓同名の別人なのか?
真相を追う村瀬に、手帳を置いた原因となった発砲事件が立ちはだかる。