「おまえを犯している最中に口答えは厳禁だ」
「あっ、伍長…イエス、サー」
イゾベル・“ボブ”・ヘイリーは、家族を養うため、男装して兵隊になった。
美しい胸をきつく巻いた包帯で隠し、重い銃をかついで泥の中を進軍する。
男言葉で話し、不衛生極まりない環境で寝起きするのも、もう慣れっこだった。
女としての欲望や悦びは……というと、実は、秘かに叶えられている。
イゾベルの正体を知るマイヤー大尉と、彼の秘密の恋人ダグリッシュ中尉は、
男同士の熱い睦み合いに、より深い倒錯と快楽を求めて彼女も加えてくれるのだ。
叶わないのは、同じ部隊に所属するアンドリュー・サウジー伍長への想いだった。
筋肉質だが細身のしなやかな体。くしゃくしゃのブロンド、泥に汚れた繊細な横顔。
女だとは告げられない。けれど彼は、男の私にも興味はなさそう――
イゾベルは、彼にあらゆることをされる妄想で自分を慰めるしかなかったのだが……。