2008年の世界金融危機をきっかけに大幅な規制改革が行われたが、金融機関はいまだに社内の不正行為や不祥事に悩まされている。公式の規則を設け、コンプライアンス部門に投資するような従来型の不正防止策では対処できなくなっているのだ。そこで筆者らが提案するのは、行動科学の知見を取り入れた行動リスクマネジメントである。会社のデータや従業員へのインタビュー、調査などから、適切な意思決定を妨げている原因や、問題を引き起こしそうな行動パターンや要因を明らかにして、ワークショップやセッションにより解決策を導いていく。
*『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2022年10月号)』に掲載された記事を電子書籍化したものです。