この男、憑かれている…とんでもない〈怪談野郎〉があらわれた!怪談蒐集を趣味に持ち、仕入れたネタを友人の怪談作家に提供していた「私」。ある時、自分の網にかかったネタと怪談作家の取材したネタが被っていることに気づく。現在進行形の怪談を「怖いから書かない」と言う友人に「私」は思わず口にしてしまった。「じゃあ自分が書く」と──。表題作「凶禍の音」を機に蒐集のみならず書き手になってしまった著者の、恐るべきストック怪談集。・ブロック塀に囲まれている奇妙な家屋「デスマッチの家」・近所の地蔵になんの気なしに手を合わせたら…「身代わり」・仕事に追い詰められていた帰り道、遠くに見えたのは…「楽しそうな通り」――など、魂の奥に流れこんでくる44編!