ここ最近、新宿歌舞伎町のハイジア・大久保公園外周、通称「交縁」(こうえん)には、若い日本人女性の立ちんぼが急増している。その様子が動画サイトにアップされ、多くのギャラリーが集まり、現地でトラブルが起きるなど、ちょっとした社会現象にもなっている。彼女たちはなぜ路上に立つのか。他に選択肢はなかったのか。SNS売春が全盛のこの時代に、わざわざ路上で客を引く以上、そこには彼女たちなりの事情が存在するに違いない。「まだ死ねないからここにいるの」一人の立ちんぼが力なく笑った。本書では、ベストセラーノンフィクション『売春島』の著者・高木瑞穂が、「交縁」の立ちんぼに約1年の密着取材を敢行。路上売春の“現在地”をあぶり出すとともに、彼女たちそれぞれの「事情」と「深い闇」を追った――。■目次・プロローグ(序章)・第1章 統合失調症とASDを抱える女・琴音(31歳)・第2章 二度の逮捕歴がある女・未華子(32歳)・第3章 ハイジア・大久保公園界隈に街娼が集まり始めたルーツ・第4章 歌舞伎町で起きた事件から紐解く、路上売春史・第5章 ヤクザに拉致られた女・梨花(21歳)・第6章 1ヶ月350万円を稼ぐ女子大生・恵美奈(19歳)・第7章 彼氏に勧められて路上に立つ女・紗希(20歳)・第8章 歌舞伎町案内人と巡る“交縁”の現在・第9章 名物立ちんぼとして知られる老女・久美さん(年齢不詳)・エピローグ(終章)■著者 高木瑞穂ノンフィクションライター。1976年生まれ。月刊誌編集長、週刊誌記者などを経てフリーに。主に社会・風俗の犯罪事件を取材・執筆。著書に『売春島「最後の桃源郷」渡鹿野島ルポ』『東日本大震災 東京電力「黒い賠償」の真実』『覚醒剤アンダーグラウンド「日本の覚醒剤流通の全てを知り尽くした男」』(彩図社)、『裏オプ JKビジネスを天国と呼ぶ“女子高生"12人の生告白』(大洋図書)『日影のこえ』(共著、小社刊)ほか。Twitter @takagimizuho2