メディアでは、何か事件が起きるたび、誰が悪かったのかと犯人探しが始まる。メディアだけではなく、社会のあちこちで「悪いのは××だ!」という声が以前にも増して聞こえてくる世の中になった。そして、誰もがその後こう付け加える----「悪いのは私じゃない」。
でも、だれもが「悪いのは私じゃない」と主張して、他を罰してばかりいたら、社会はばらばらになり崩壊してしまう。いったい、私たちはどうしたらいいのだろうか?
本書は、新型うつ病、モンスターペイシェント、アダチル、パワハラ、スピリチュアルブーム等々、医学心理社会政治の多角的側面から、悪の原因特定に見られる、「悪いのは私じゃない」という他罰的傾向の淵源に迫る。
《目次》
プロローグ----他罰の時代がやって来た!
第1章 学校が悪い!
学生のあいだで剽窃が横行
「学校が悪い、教員が悪い」
萎縮する教師、保身に走る学校
第2章 医者が悪い!
「医者が悪い」というモンスターペイシェント
くずれる医師と患者の関係
増える母娘共闘のプチモンスター
第3章 職場が悪い!
労災認定されるうつ病が増加
ギスギスした職場
会社のトップに直接メールする社員
新型うつは他罰の巣窟
第4章 家族の中の他罰主義
「子どもが悪い」と逆ギレする親
子どもは本来、自責感が強い
「親が悪い」と言う子ども----アダルトチルドレン
第5章 「前世が悪い」?のスピリチュアルブーム
「原因が私じゃないなら、薬は要りません」
「前世が悪い」
スピリチュアル的原因論の功罪
第6章 科学の世界も「他罰のススメ」
かつて、自分を責めがちだったうつ病患者
「食べ物が悪い」
「脳の傷が悪い」
「遺伝子が悪い」
他