【書籍説明】
いま一番書きたい皆川広照(みながわ・ひろてる)と天徳寺宝衍(てんとくじ・ほうえん)を書く。
まず、皆川広照は徳川家康との結びつきが非常に興味深い。本能寺の変直後の「伸君伊賀越え」に同行していた可能性がある。
「そんな話は聞いたことがない」という声も聞こえてきそうだが、注目されていない史料は意外と多い。
また、宇都宮氏の有能な家臣でありながら、離反し、北条氏に従い、豊臣秀吉による小田原城攻めのときはこの城から脱出。
北条氏滅亡の連座を免れた。このため世渡り上手のイメージがあるが、それだけではない。
その後、家康六男・松平忠輝の家老となり、戦国の世が終わった時代にまた一波乱……。
難しい場面での決断でピンチの連続を乗り越えてきた武将だ。
一方、天徳寺宝衍は名城・唐沢山城を本拠とする佐野氏の出身。
外交僧として諸国を渡り歩き、貴族や宣教師とも交流があり、織田信長、豊臣秀吉が関東に進出する際には欠かせない存在だった。
北条氏や上杉氏の対応についても秀吉から相談され、文禄の役でも九州に同行している。秀吉の知恵袋だったのだ。
戦国の主役には遠く及ばない弱小領主だが、その生涯は戦国武将らしい冒険に満ちているのだ。
【目次】
第1部 戦国時代の関東
第2部 皆川広照
第3部 天徳寺宝衍
【著者紹介】
水野拓昌(ミズノタクマサ)
1965年、東京都生まれ。法政大学法学部卒業。1989年、産経新聞社入社。
整理部記者、地方支局記者、宇都宮支局次長などを務め、2019年退社。
『藤原秀郷 小説・平将門を討った最初の武士』(小学館スクウェア)
『小山殿の三兄弟 源平合戦、鎌倉政争を生き抜いた坂東武士』(ブイツーソリューション)
『鎌倉殿と小山3兄弟 ~小山朝政、長沼宗政、結城朝光~』
『鎌倉殿と不都合な御家人たち ~「鎌倉殿」の周りに集まった面々は、トラブルメーカーばかり?』(まんがびと)などを出版。
「栃木の武将『藤原秀郷』をヒーローにする会」のサイト「坂東武士図鑑」でコラムを連載。