老齢の王への貢ぎ物にされる前夜――
筋骨たくましい兵士が、寝室に現れた。
「女にとっての“肉体の悦び”をぼくが教える」
明日、フィロミーナは見知らぬ男ベンヴェヌート王の妃となる。
少女の頃から、自分には愛する人との結婚という選択肢がないことはわかっていた。
もっと大人になると、女の悦びを求めることも叶わないことを知った。
フィロミーナは、王宮の回廊に立つ、りりしい戦士の裸像を見つめながら思った。
あんなにたくましく、硬い肉体を持つ男性に抱かれたら、どんな感じがするのかしら?
彼女の夫となる男は、国を治めるほどの地位にあるのだから、きっと老齢だろう。
国の平和のため、王を支え、よき妻になろう――そう心に誓っていても、
戦士の像を見る度に、フィロミーナの胸は疼き、唇からは切ないため息がもれた。
そんな彼女をいつも見守っていた侍従は、その夜、フィロミーナにある贈り物をする。
戦士の像に似た兵士ダンテを彼女の寝室に手向けたのだ。一夜限りの悦びを授けるために。