本書は、メディアアートの実践者として、 また教育者として、最先端を走り抜けてきた久保田晃弘が、脱中心(=固着した人間中心主義から脱却すること、すなわち人間、ひいては社会が変わることを前提とした経験的想像力を超えたものづくり)を志向しながら、工学から芸術へ、「設計」から「デザイン」へと展開した、20年にわたる思索と実装を辿るデザイン論集です。
いま、何をつくったらいいのか?
見たことのないものを、なぜ人はつくれるのか?
真に新しいものをつくりだすということは、どういうことなのか?
人工知能が超知能になるポスト・ヒューマンの世界を見据え、デザイナーは足元に穴を掘り続けるのではなく、遠くへ行くための道をつくらなければなりません。「科学技術が社会に普及浸透していくためには、文化的、芸術的なアプローチが必要不可欠である」という視点から出発し、「一体何が、これからのデザインや芸術になり得るのか?」を常に探求してきた久保田の予見に満ちた言説は、テクノロジーとともに更新されゆく私たち人間、そして社会の未来を鮮やかに照らし出します。