鋼鉄、男の匂い、そして肌。
ああ、たまらない。もっとほしい…。
夜行列車で旅行中のケイトは、ある行為にとりつかれていた。
空いている寝台コンパートメントに忍び込み、汽車の揺れに合わせて自慰に耽る。
闇を突き進む巨大バイブレーターみたいな寝台特急は、ガラス窓に強く体を押しつけながら指を動かすと、低く唸る振動と誰かに見つかるかもしれないというスリルが合わさり、すごくイケるのだ。
今夜も寝台車の通路を歩きながら、ケイトはもう濡れていた。
やっと見つけた空室で急いでジーンズのファスナーを下ろし、手を突っ込む。
暴走する欲望を夢中でなだめながら、ケイトはまだ、暗闇の中から一人の美しい男がじっと見つめていることには気づいていなかった。
*本書は、エロティカ・ラブロから既に配信されている『鳥籠の淫執愛』を改題した作品となります。 重複購入にご注意ください。