山口県民は自尊心が強い。
そうした気質を人々に芽生えさせ、かつ山口の地をドラスティックに変えたのは明治維新である。
近代日本の立役者となったのは「薩長土肥」の4藩とされるが、なかでも長州藩は新政府内で重要な役割を果たし、薩摩藩と共に主導的な立場に就いた。
そのときから築き上げた「長州閥」と言われる政治勢力は厳然たる力を持ち続け、山口は多くの人材を政治の場に送り込んだ。
そんなわけで山口県民は「自分たちが日本を動かしてきた」という意識を持つに至ったが、維新の原動力となったかつての革新的気風はどこへやら、今や国内屈指の保守県と生まれ変わった。
そしてその保守的で中央志向の気風は、山口県衰退の要因にもなっている。
本書ではそんな理想と現実のはざまで揺れる山口県の実情と問題点を探っていく。