岩手は人も歴史も「我慢」が特徴の県だ。
昔から当地の支配者は中央権力に抵抗し続け、住人は厳しい自然に立ち向かってきた。
現代においても東日本大震災では多くの県民が我慢と苦労を強いられた。
そんな苦難を「岩手民族」は忍耐と不屈の精神で乗り越えてきたのである。
というわけで、県民は団結力が強そうな印象だが、そうでもないのが岩手の不思議なところ。
県土が広く山や高地ばかりの地勢もあって、昔から地域間の交流が少なかったのがその要因だが、歴史的な反目もある。
北は旧南部藩領で南は旧伊達藩領。犬猿の間柄ともいわれた両者の遺恨は現代にも燻り続け、
加えて南北の経済発展の違いで生じた格差も対立感情を助長しているのだ。
本書は我慢強くコツコツ堅実な岩手県民の本質、地域間の対立感情、さらに三陸の復興の現状など、
岩手を多角的に捉えながら、岩手の本当の魅力と進むべき道を探っていく。