都道府県や大都市の実像を暴き出す『地域批評シリーズ』が大幅リニューアルで贈る大阪本。
豊臣秀吉以来、大阪は400年にわたって日本一の都市だった。
しかし、日本が名実ともに先進国の仲間入りをした1970年の大阪万博以降、あらゆる面で東京に後れを取り、逆に「危ない」「特殊」「おかしい」街というイメージを持たれるようになってしまった。
しかし、長らく低迷の続いた大阪は、今劇的に変化しつつある。
世界的権威を誇るイギリスの経済誌「ザ・エコノミスト」が行った「世界の住みやすい都市」ランキングで、大阪は東京を押さえ3位にランクイン。
劣勢が伝えられることも多かった万博の誘致は、結局圧勝に近い形で成功。
近年重視されている外国人観光客の誘致合戦でも、大阪は国内トップの来街者数を誇っている。
そう、大阪はついに復活の時を迎えたのだ。
だが、冷静に地元感覚から考えて、「世界3位」の住みやすさが大阪にあるかというと、正直疑問を感じる府民は多いだろう。
肌感覚として東京に劣る部分はないし、危なそうなエリアの多さやビンボー臭さ、ガラの悪さは相変わらず多いのが厳然たる事実である。
万博にしたところで、現在の成熟しきった日本において、その開催の意義や効果に疑問の声が多くあるのも当然である。
本書は、急速に発展し、日本一返り咲きを果たしつつあるも、改善が必要な部分があまりにも多い大阪というアンビバレントな街を、
長期の現地取材と多数の資料検証から、解き明かす一冊である。
「世界3位」は、所詮実情を知らない外国人の「過大評価」なのか。
万博は否定派の言うように、効果がないのか。
大阪の「現実」と「未来」を探っていくことにしよう。