愛媛県のイメージってなんだろう。ヨソの人にとってはミカンにポンジュース……以上だ。
だが、愛媛県の実力はそんなものではない。そもそも、愛媛県、いや伊予国は
「誇り高き海賊」の国。古くは平将門と並び称される英雄、藤原純友の本拠地であり、
瀬戸内水軍の中でもっとも権威のあった河野水軍は愛媛の一族。
いかなる支配にも屈せず海を駆けた自由の民の国なのだ。
その海賊の子孫たちが住む愛媛は、大きく3つのエリアに分類される。
しかし現在、各地はそれぞれ大きな問題を抱えている。
東予の工業地帯は斜陽期を迎え、ミカンと海産の衰えた南予各都市は
ことごとくシャッター街と化した。四国最大の都市である松山は今もその力を
保っているように見えるが、その内実は郊外化の進行や再開発を巡る対立など
懸念すべきことも多い。
本書は、そんな愛媛を多角的に愛媛県を解き明かすことで、
その「未来」を考えるための材料となることを目指した一冊である。