熊本県の知名度が九州他県に比べて低かったことへの打開策のひとつとして誕生した「くまモン」は、
その期待に見事にこたえて「熊本の劇的な知名度アップ!」という逆転の大ホームランをかっとばした。
くまモンが地元・熊本県へもたらしたとされる経済効果は2年間で1200億円超。
県都・熊本市が政令指定都市になるかどうかという時期に重なったくまモン・フィーバーは、市の政令指定都市移行の絶好の追い風にもなった。
そして2012年4月、熊本市は政令指定都市として生まれ変わった。
その原動力となったのは熊本人のプライドと意地だ。
江戸時代、大藩だった熊本藩は「九州のお目付け役」を自認。
明治時代以降も、九州行政の中心的役割を担ったのは熊本市だった。
だが、今や九州内都市間のパワーバランスは福岡市に大きく傾き、鹿児島市の伸長も著しい。
そこで元九州一のプライドにかけ、存在感を上げたい熊本市は政令指定都市への移行を進めたともいえる。
しかし、全国20番目のピッカピカの新・政令指定都市といったら聞こえはいいが、問題は山積みだ。
インフラ整備は不十分だし、産業も農業主体で工業が心もとないから財政基盤は脆弱。
力を入れたい観光も、ほぼ熊本城頼みで観光客は頭打ち状態。
そもそもくまモン効果で熊本県の認知度は格段に上がったのに、熊本市が政令指定都市だという一般認知は十分ではなく……
最初の目論みからすれば「これでいいのか!」とツッコミたくもなる。
本書では熊本の街を歩き、市民への取材を行い、各種データも用いながら熊本市を多角的に分析。
新生・熊本市の真の姿を追った。
果たして九州の雄の復権はあるのだろうか!?