本書は『東葛』『葛南』『千葉市』に続く千葉シリーズ4作目である。
上記の3エリアは、千葉県の総面積の6分の1にも満たないが
県内総人口の半数以上が住む地域で、
東京で働く人のベッドタウンとして重要な役割を担っており、
その住民の多くは「千葉都民」と呼ばれている。
他県からの移民が多く、住み心地重視で地域の発展は二の次だから、
郷土愛など期待できるはずもない。
では、郷土愛に溢れた千葉土着の原住民はどこに住んでいるのだろうか?
それはまぎれもなく、今回メインで扱う南房総と外房・内陸(北総)エリアだろう。
しかし、悲しいかな、県外の人たちが「千葉」と聞いてイメージするのは
先述の人口が密集した北西部エリアに偏っており、
南房総や外房を思い浮かべるのはゴルフ好きのオジサンかサーファーくらい。
内陸(北総)エリアにしても「空港と成田山以外に何があるの?」といった印象。
ほとんどの地域で過疎化が著しいし、
南房総市に至っては3人に1人が老人と高齢化がハンパない。
しかし、だからこそ当エリアには純粋培養された千葉原住民がいると断言できるのだ。
かつては北条氏と戦いを繰り広げた『南総里見八犬伝』の里見氏を筆頭に、
数々の小藩によって治められてきた原住民には「野武士」の血が連綿と受け継がれている。
本書ではそんな「原住民」の生態を明らかにすると共に、
各地域のさまざまな問題を取り上げ、
時にサイタマとの「関東3位」の攻防を繰り広げつつ、
リアルな千葉県の姿に迫ってみた。
「千葉愛」なら誰にも負けない! という房総っ子を含めて、
多くの千葉県民の心に刺さる一冊になっているはずである。