前作では札幌市の「すでに滅んでいるパラダイス」という本質に迫り、
市民はどん底の状況から目をそらしながら、のほほんとしている状況を探った。
それから3年……。
失業者と生活保護が増え続け、経済の見通しは暗く、
あいかわらず市民は頑張らないで暮らしている。
北海道は開拓時代の頃から士族・農民・流民などが入り込み、
やがてこうした移民たちが一極集中した札幌が、漁業、農業などの
一次産業分野で不動の地位を築いている北海道各地の人口と
購買力を吸い上げながら、肥え太ってきた歴史がある。
その構図は現在にも受け継がれ、流通拠点である札幌に、
地方からストローで吸い上げるように人もモノも移動しているのだ。
人口を道民の3分の1近く集め、いくつもの弊害を出しながら
その肥満体は膨れ上がっているが、当の札幌人はと言うと、
「仕事がない」「お金がない」「将来がない」と言いつつ、頑張らずに楽しそう。
端から見ている方がハラハラさせられるが、
札幌人は「なんとかなるっしょ!」と、何を言われても馬耳東風のままだ。
札幌人は、なぜ頑張らないのか?
第二弾である本書は、
北海道という巨大な土地が生み出すエネルギーを
札幌が吸い取っている現状を追いかけながら、
札幌の成り立ちと今後の行方、
どこか不思議な考え方の札幌人の深層心理に肉薄し、えぐり出した一冊である。