1963(昭和38)年、2月10日に旧五市(門司・小倉・八幡・若松・戸畑)の合併によって誕生した北九州市は、
2013年2月10日に市制50周年を迎えた。
小倉駅周辺の商店街には「市制50周年」のロゴ入りフラッグが飾られ、北九州モノレールには記念ラッピング列車が登場。
市内ではさまざまな記念事業や関連事業が行われるなど、記念すべき年を盛り上げようと市は熱心に活動を続けている。
しかし、そんな市側の思いとは裏腹に市民たちの反応は実にあっさりとしたもの。
「50周年? あ、そう」というつれない声がそこら中にこだまするほど、反応は悪い。
その原因のひとつは、飲食店関係者が刺される、飲食店ビルが放火されるという凶悪な事件が相次ぎ
多数の市民が深刻な被害を受けており、「今はそれどころじゃない!」というムードが漂っていること。
確かに、すっかり人通りが少なくなってしまった夜の繁華街を目の当たりにすると、合併50周年を祝う気分も薄れてしまう。
そして、もうひとつは“北九州市全体の出来事”に、市民はあまり興味を持っていないこと。
もともと個性の強い五市が合併したため、現在でも街の雰囲気は区ごとにバラバラ。
合併から50年経った現在でも“ひとつの市”としてのまとまりに欠けるため、「50周年」と言われてもピンと来ないのだ。
一体、“北九州市”としての個性はどこにあるのだろう?
よく言われる「怖い街」というダークなイメージが本当に北九州市の実像なのだろうか?
本書は、こうした北九州市と市民を徹底的に取材・分析し、真の姿を暴き出した一冊である。
多少、強引な文書も度々登場するが、“北九州市への新たな視点”だと思って、暖かく見守っていただけたら幸いである。