東には名峰・富士、北に南アルプスの山々など三方を山に囲まれ、
南は駿河湾に接する温暖な地、静岡市。
紆余曲折あったものの、
2003年には隣接する清水市と合併して新・静岡市が発足。
2005年には政令指定都市に移行し、
市内は葵区、駿河区、清水区の行政区に分かれた。
その後も蒲原町、由比町との合併を果たし、
人口71万人を超える一大都市となった。
改めていうまでもなく、静岡県の中部に位置し、
サッカー王国であり、静岡茶の名産地であり、
今や清水の港湾や名勝地・日本平も「静岡市」である。
話題に事欠かない市でありながら、全国的な知名度はどうか。
個人差はあれ、
「県庁所在地は浜松だったっけ?」
「東京寄り? 名古屋のほうだっけ?」
「新幹線で通過するだけだしねぇ」
「お茶は分かるけどほかは?」
と、周囲から「?」いっぱいの言葉が多く聞かれるのが現実だ。
これって、「駿河ボケ」とまで揶揄されるのんびりとした気質もあって、
外に自分たちをアピールするのがあんまり得意でないってことなのか?
家康の「鳴くまで待とう」の言葉さながらに、
「知らぬなら知られるまで待てる」、
「気候も温暖で住みやすいし、まっどうにかなるさ」が
静岡マインドなのかもしれないけれど、
少子高齢化で危惧される市の財務、産業ほか地方の空洞化が叫ばれて長い今、
本当に待ってばかりでどうにかなるの?
本書では、愛すべき静岡市、その広い、広すぎる市域を歩き、走り、
現実を見聞きし、さまざまなデータを徹底的に検証した。
旧静岡市と清水市が合併したはいいけど一体感まるでナシ……といった、
現・静岡市の真実、通奏低音に迫るとともに、
きたるべき未来を展望していくとしよう。