「広島出身なんです」というと「ああ、お好み焼き!」とまず返ってくる。
その次には「修学旅行で原爆ドームに行った」「やっぱりカープファン?」
……この答えで大抵9割。
カープ、原爆、お好み焼き。
広島にはコレしか無いのか!?
と考え続け……ある意味、間違ってはないよな、という結論に。
思えば広島市というのは不思議な都市だ。
政令指定都市であり、中国地方最大の都市としてビジネス的に見て注目度は高い。
しかしながら、大阪や神戸と地理的に近いにもかかわらず
“関西”というイメージは少ない。
かつ、広島弁というのは全国的にもイメージが浸透しているものではあるものの、
「じゃあ広島人ってどんな人?」といわれると、
これがだれも一言ではいえないのではないだろうか。
当たり前だ、当の広島人がイマイチ把握していないのだから。
しかし。海外に出れば、ヘタをすれば“東京”の次に有名な都市でもあったりする。
この場合の広島はカタカナの“ヒロシマ”。
被爆地として有名だったり、カープや観光地で有名だったり、
でも自分たちのことは意外とよく分かっていなかったり……それが“広島人”だ。
この本を書くにあたり市内で取材を繰り返し、だんだんと分かってきたことは
「なぜ広島市がこうなったのか」という歴史が絡んだ複雑な事情と、
そして意外と広島の人々はその事実を漠然としか把握してない、ということだ。
日常過ぎて見落としている広島市の“謎”は意外と多い。
ヘビーな歴史も絡んできたりするが、事実だから仕方ない。
この機会に、自分たちも知らない「広島市の正体」を紐解いてみようではないか。