「いつかは住んでみたい街」ランキングに、毎回必ず上位に食い込む札幌。
政令指定都市であり、2009年には人口190万人を突破。
「人がおおらかで、よそ者に対してもすごく優しい」「碁盤の目で分かりやすい街並み。
買い物が便利」などなど、道外から絶大なる評価を受けている。
だが、肝心の札幌に住む市民の生態はどうだろう? 札幌は、典型的な一極集中型都市で
北海道の人口の約3分の1を占めている。
そのせいか、札幌っ子の脳内では『北海道イコール札幌』に変換されており、
道内他都市のひんしゅくをたまに買い、
本物の大都会に住む東京人の失笑ももれなく買っている。
また、札幌を含む北海道は深刻な不景気で働き口もなく、生活保護者は急増中。
札幌は元々、明治政府のエスコートのもと開拓され発展した街で、
言うなれば中央ありきなのである。
それがこの不景気のなか、地方切捨てでお先は真っ暗。
なのに市民は口癖のように「大丈夫」だと言い、
あいかわらず多幸感に満ちた表情をしている。
コレが今回の取材でひとつのキーワードになった「札幌の魔力」。
当初は?の連続であったが、調査してゆくうちに「札幌は既に滅んでいる。
が、パラダイス」という驚愕の結論へとたどり着いた。
一度暮らすと二度と離れられなくなる街、札幌。
職を求めて去ったはずの若者も、
帰巣本能に促されるハトのように「早く札幌に帰りたい」とつぶやくという。
本書は生まれてこの方・札幌一筋の生粋の札幌っ子の記者を中心に
各種統計データやローカルでしか流れないニュースを元に徹底的に解析、「札幌の魔力の源」に肉薄した類まれなる一冊である。