関東や関西のビジネスマンに「出張するならどこがいい?」と尋ねると、「福岡」という答えが返ってくることが多い。
その理由は、交通の便が良く行きやすい、人が温かい、食べ物がおいしい、中洲で遊べる、女性がきれい……などなど。
ほど良く都会で、ほど良く田舎。
暮らしやすく、東京とは異なる独自の文化もあり楽しみは豊富。
地方都市の中ではバツグンの人気で、2006年には『ニューズウィーク』で「世界で最もホットな10都市」に選ばれた実績もある。
福岡市民が自分たちの街を表現する際、良く使うのが「コンパクトシティ」という言葉。
「コンパクトやけん遊びやすかよ」「コンパクトやけん空港も近いとよ」と自慢気に話す。
確かにコンパクトであることは魅力だ。
朝は山に登り、昼は天神で買い物、夜は博多湾でクルージング。
そんなアクティブな1日もコンパクトシティだからこそ叶う(こんな人はそういないとは思うが)。
しかし、考えてみてほしい。
渋滞だらけの道路はコンパクトなゆえにパンクしつつある「街の狭さ」を示しているのではないか。
「便利な機能が集中している」といううたい文句は、過密と過疎の両局面があることもうっかりPRしてしまっているのではないか。
2011年3月、九州初上陸の阪急や東急ハンズなどが入る「JR博多シティ」が開業した。
市民からは、「市内はどこも遊び飽きていたのでうれしい」と、コンパクトシティに物足りなさを感じていたからこその声が続出し、大いに盛り上がっている。
一体、福岡市民の実像はどうなっているのだろう。
本書では、こうした福岡市と市民の特徴を細かく区ごとに分析。
福岡市の本来の姿を垣間見ることのできる街の新しい解説書として楽しんでもらいたい。