2008年発刊の『日本の特別地域 特別編集 東京都杉並区』では、
中央線沿線をモデルケースとして、杉並区に対するイメージは本当なのか、というか、
そもそもイメージばらばらじゃないか?といったあたりを考察した。
まあざっくりと要約してしまえば「駅ごとに人種が違う」。
さらに言えば、同じ駅を利用する人間たちの中にも絵に書いたようなブルジョワもいれば、
良くわからない自由人もいる。
これが杉並区に対する印象のバラつきの原因だった。
「駅ごとの違い」について考えるうちに、
駅と言っても中央線と井の頭線、西武新宿線でもずいぶん違うよね、
という杉並区民なら当然な結論にブチ当たる。
野蛮でガサツでそれが魅力なのが中央線なら、
ハイソで瀟洒でステータスになるのが井の頭線沿線。
西武新宿線は、杉並がどうこうというより「西武」の支配地域でまた別世界。
同じ杉並区内でも随分と違う、路線別、エリア別住民傾向もそれぞれ違う。
「貴族」と「素浪人」が杉並区というフィールドの中に同居しているのでは?
これが杉並本2冊目となる本書のテーマだ。
永福あたりに住んでいる住民は、高円寺の端に住む筆者から見れば、まるで貴族である。
じゃあ俺らは素浪人か? 蛮族か? 善福寺川はルビコン川か!?
そして、抱かれる「イメージ」が本当かどうか、
実際にデータと取材、自分の目と足で確かめるのが、本シリーズの持ち味でもある。
1冊分の紙幅を用いて、杉並区の人種クラスタをチェックしていこう。