知っているようで、知らない区。
それが江東区だろう。
江東区と都心の間には隅田川が流れている。
つまり、都心から見て、隅田川の向こう側が江東区ということになる。
でも、「隅田川の向こうの区は?」と、西東京あたりで無作為に聞くと、
10人中7人ぐらいの割合で墨田区という答えが返ってくる。
このふたつの区に知名度の差はないと思うが、名前が「墨田」区だからどうしても分が悪い。
江東区はマイナー区ではない(と思う)。
しかし、地元以外の人は江東区という名前を知っているが、江東区の町(駅)をよく知らない。
けれども門前仲町は別格だ。ここはたいていの人が存在と場所を知っている。
歴史の薫り漂う下町、観光スポットとしても人気がある。
が、ここまで。
比較的知名度の高いと思われた、東陽町、亀戸、豊洲クラスでも、名前は知っているのに、
江東区にあるということを知らない人が大勢いる。
東陽町なんて、江東区役所があるのに悲惨極まりない。
亀戸も不幸なことに錦糸町とセットで墨田区だと思われている。
豊洲のある臨海地域の大部分が、実は江東区だということも、案外知られていないのだ。
本書は地域批評シリーズとして、取材と各種のデータなどから、その地域の真実を探し出すことが目的である。
扱う地域はもちろん江東区だ。
その答えを探し出す作業はすなわち、江東区内の各地区住民の生態を明らかにすることにつながり、
ひいては江東区の知名度アップにもつながっていくと確信している。
果たして、下町と豊洲はどれだけいがみあっているのか?
それとも我々の一方的な誤解だったのか?
是非とも最後までお付き合いしていただきたい。