豊島、新宿、渋谷と続いてきた『地域批評シリーズ』の副都心編。
今回は、その総集編として東京メトロ副都心線沿線すべてを分析する特別編集版をお届けする。
2008年6月に開通した副都心線。
だが、その期待度に反して、今のところ「あんまり使えない」路線となっているようだ。
だが、100万人単位の規模である副都心周辺が、たとえ鉄道が通ったといえ、
短い期間で大きく変わるとは思えない。
変化は、これからジワジワと、
そしてなにかターニングポイントとなるような事件が起こったときに、
急激にやってくるのではないか。
副都心線のキモは、これまで池袋と渋谷で終点となっていた
東武東上線、西武池袋線、そして東急東横線が、そのまま連結することにある。
鉄道の終点というものは、乗客に対して与える心理的な影響が強く、
それなりの目的などがない限り
「乗り換えるのが面倒だからここでいいや」というように、その先へ進むことを拒む。
池袋に埼玉県南部、練馬区、板橋区の住民が集い、渋谷に横浜市北部、川崎市西部の住民が
集まるのは自然の流れだった。
だが、これが変化するかもしれない。
大きな壁となっていた「終点」が取り払われたのだ。
本書では、新宿、池袋、渋谷の三大繁華街(三大副都心)の比較を中心に、
「現在の」これらの街を比較する。
今、三大繁華街はどのような利点と弱点を持ち、
どのような人が集い、どんなイメージの街となっているのか。
これらを、蓄積されたデータと新たに行った取材をもとに解き明かしていく。
副都心の真実の姿は、今どうなっているのか。
それを知ることで、この先副都心にどんな変化が起きるのか、それともなにも変わらないのか。
探っていくことにしよう。