消えた向日葵、連続する不穏な事件――多感な少女の感情を繊細に描く、慟哭必至の傑作青春ミステリ父親が亡くなり、山形の集落に引っ越した小6の高橋みのり。初めての夏、「向日葵流し」のために育てられていた向日葵の花が、何者かによってすべて切り落とされる事件が起きる。みのりの周囲ではさらに不穏な事件が続き――。彼女の4年間の成長と事件の行方を瑞々しい筆致で描く、感動の長編青春ミステリ。第74回日本推理作家協会賞長編および連作短編集部門ノミネート作品。「これほど自然の中に多感な思いがこめられた小説も珍しいのではないか。自然描写をしなくなった(いや出来なくなったといったほうがいい)作家が多いなかで、彩坂美月は、丁寧に一人の少女の内面と、過ぎていく季節の流れを追っていき、嫋々たる余韻を残す」――池上冬樹氏の解説より抜粋