博之が親戚の葬式で出会った、派手な姿で参列するモデルの渉。父親の事業が倒産し、金銭面から進路に悩む中で、自分とは住む世界が違うような彼に見惚れた博之だったが、不意に渉の地雷を踏み、とんでもない提案をされる。「パトロンになってやろうか。――お前の童貞、金で買ってやるよ」渉の意図がわからないまま受け入れる博之だったが、次第に自身も「そう」して這い上がってきた渉の寂しさに触れていく。また渉も博之との関係を、一度きりでは終わらせたくなくなっていて…。交わらないはずの2人が不器用に重ねる、歪で甘い初恋のように更けていく夜の物語。