※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。あなたが生まれるはるか昔に――凶悪犯罪でふりかえる近代日本の裏面史明治、大正、昭和期前半に国内を震撼させた大事件を写真と資料で完全再現●「昔はよかった」と言える昔はなかった今から80年以上前、日本は無謀な戦争に突入した。欧米列強の支配からアジアの国を守り独立・繁栄を目指すという「大東亜共栄圏」を大義名分に近隣諸国を侵略した。その結果として、軍人に砲弾・病・飢餓が襲い、国中が空襲に遭い、広島・長崎に原爆投下の惨劇をもたらした。太平洋戦争の死者は軍人軍属、民間人を合わせて約310万人。天皇陛下を神と奉り、悲劇への道を疾走した国の指導者の責任は極めて重い。戦後、日本は民主国家に生まれ変わった。勤勉な国民性は急速に経済を発展させ世界でも有数の先進国に上り詰めた、右傾化が懸念される昨今でも、多くの人々は平和を享受し自由を謳歌している。戦争は二度と起こしてはならない。あの時代に戻ることは決して許されない。では、戦争前の日本はどんな社会だったのだろう。果たして、人々の暮らしは幸福だったのか。昔はよかった、と言える昔があったのだろうか。答えはノー。戦前の日本は極めて貧しく残酷だった。人権意識は低く、農村は生活に窮し、女性を卑しめられ、忌まわしき風習に縛られ、国家に逆らう主義主張を唱える者は弾圧され、要人テロが横行した。明治から大正、太平洋戦争が始まる昭和前半までの73年間、誤解を恐れずにいえば、日本は想像以上に野蛮で愚かな国だった。本書はそんな時代に起きた、戦慄・驚愕の35の事件を取り上げた1冊である。閉鎖的な村社会で孤立し住民の殺戮を図った者、惚れた芸妓の裏切りに狂気を爆発させた者、エリートによる金と女絡みの凶行、拷問に近い取り調べで犯人に仕立て上げられた冤罪事件、身勝手な復讐劇。それらは現代でも起きうる犯罪でも、やはり根底には時代の空気が色濃く反映され今の世とはまた違う独特の狂い方が確実である。記事本文には、現代では使わない差別用語や蔑称が頻繁する。残酷な記述もふんだんにある。が、その言葉をもちいなければ、事件の本質、時代のニュアンスが伝わらないと判断し、あえて当時の表現をそのまま使用している。あしからずご了承いただきたい。また巻末には、取り上げた事件当時の社会情勢がわかるよう年表を付記した。犯人、犯行の動機を知るうえでの参考にしてほしい。鉄人ノンフィクション編集部