乙女ゲームの悪役令嬢に転生したウィリアス公爵家ルティーナは、既定路線通りに婚約破棄を受けて、舞台から退場することを決めた。
もちろん、婚約を破棄された私に、まともな嫁ぎ先があるはずもない……だからこそっ!!
「モフモフ辺境伯様だけは、誰にも譲りませんわ!」
美しい銀色の毛に覆われ、狼の顔をし、野蛮で野獣だと噂されている辺境伯のランベルト様は、乙女ゲームの隠しキャラにして転生前の私の推し。
本当の彼は、野獣どころか自分に少し自信がなくて、才能豊かで優しいとても素敵な人なのだ。
そんな推しと婚約するため、早速私は事前準備を整えて「この婚約が成立しなかった場合、私は神殿に入るか高齢の貴族の後妻に入る」と父親を説得する!
「……これは、新手の脅迫なのか?」
父にそういわれてもおかまいなしで愛しの推しのためにどんどん突き進む。
――そう、この時の私はまだ知らなかった。
弱気だったはずの辺境伯様にヤンデレ気味に溺愛されてしまうことを……。
※電子版特別書き下ろしとして婚約後の隠しエピソードを収録しています。