青山文平ならではの江戸ハードボイルド長編!
ビジネス成功譚の側面と、女への純愛を縦糸に物語りはうねり、感動の結末へ。
主人公は村の生活に染まれず、江戸に欠け落ち、四十を過ぎた。
一季奉公のまま、江戸にも染まぬ男たちは、大勢居た。根岸にある小藩の屋敷で奉公中、ご老公のお手つき女中・芳の故郷へ道連れを命ぜられる。
旅の途中、訳あって芳に刺されるが、一命をとりとめる。自分を殺したと思い込んで、行方の知れない芳を探すため、彼女が来る可能性のある江戸の場末・入江町で女郎屋の主となる。
商売は繁盛し、厚綿の布団を貸す損料屋に広げ、成功するが……。