官能とバイオレンスの大家が70代で描いた「家族」を揺るがす一大事な物語7篇。
「姉妹」
子供が巣立って、夫婦だけの二人暮らし。夫は自分が先に逝くと思っていたが、妻が半身不随に。
食事や入浴の世話で生活は一変した。
妻の妹が同居して助けてくれたまではよかったが……。
「ダブルベッド」
娘の披露宴に出席する両親。しかし、二人は別れて12年の元夫婦。
娘と新郎の願いでこの日だけ夫婦のふりをしなくてはならなかった。
ほか、急死した呑み屋のママの葬儀で常連客が次々と暴露する秘密(「遺骨」)、
元ヤクザの父親が遺した遺言状のあまりな内容に驚く息子(「遺産」)など、
一筋縄でいかない仕掛けが満載。
大家の筆の凄みを堪能できる極上の短篇集。