その日、探偵ヴィッキーを訪ねてきた依頼人はふたり―
ひとりは聖歌歌手の少年。そして、もうひとりは血の匂いをほのかに漂わせた謎の男。
依頼は同じ、ある失踪した神父を捜しだすこと。
調査をはじめた彼の目前で、事件は起きた。
異形の猿人がおこなった狂気の犯行。頭部をねじ切られ、指を食いちぎられた無惨な死体。
この街があるかぎり、わたしは不死であり、無敵であり、この街を呪い続けるだろう―
“クトゥルフの呼び声”と名乗り、探偵の元に届けられた警告の手紙。
それは、快楽の街に君臨する大いなる犯罪者パパ・フラノへの挑戦なのか?
第2回日本SF新人賞受賞作「ペロー・ザ・キャット全仕事」と同様、
近未来フランスを舞台としたネオ・エンタテインメント。