時は文政時代――。
主人公は本所で口入屋を営む双六屋の若旦那。
仕事を探して訪れる人々に、新たな勤め先を紹介している。
しかし、若旦那が受け持つ客は、大店の元主、手癖の悪い男、身持ちの悪い女、博打好きな男などなど、「わけあり」の者ばかり。
勤め先を紹介してやったものの、騒ぎが絶えないのが常。父親にはいつも怒られているが、柳に風と気にする風もない。
人生は双六のようなもの。何度でもやり直せる。たとえ失敗しても、「いろは」からまた始めればいい。
これが若旦那の口癖。双六屋の奉公人たちも、ご多分に漏れず「わけあり」な男揃いだが、みな若旦那を慕っている。
困った客が引き起こす騒ぎに翻弄されながらも、懸命にそれを解決しようとする若旦那を、影から支えているのだった。