一般的に、道具屋やホームセンターなどで売られている大工道具は、そのままでは使うことのできない「九分仕込み」という状態で売られていることをご存じでしょうか?
元来、日本伝統の大工道具は、事前に使う人の手によって研いだり調整したりといった、仕込みの工程を経て道具として仕立てられるものであり、それは師匠から弟子に継承される流儀である使い手ごとの独自の作業として、マニュアルのようなものは存在しませんでした。
本書は自ら木工家として作品作りをする傍ら、代表的な平鉋や鑿、鋸から、専門性の高い特殊な大工道具まで幅広く販売し、ユーザーからの相談に応じる中で、仕立てのテクニックを集積してきた筆者が、大工道具の技術を競う競技会である「削ろう会」でも高く評価された、その屋号である「曼荼羅屋」流の道具術を詳しく解説します。