無知であれ、弱者であれ。 無力を知ってこそ、自由に生きることができる。 「無知無欲であれ、無為であれ」 「足るを知るものは富む」 孔子の『論語』が儒教の根底思想として親しまれてきたのに対し、『老子』は道家の神髄を説いて人々に寄り添ってきた。 ともに2500年以上の歴史の検証に耐えてきた思想書である。 自己研鑽し、学問を通して知識を増やすことは、かえって人間を不幸にする。 現代も推奨される「勝ち残り」社会を強く否定する老子の思想は、いつの時代にも人々の心を癒し、そして弱者を鼓舞してきた。 格差が広がり、人々の価値観が揺らぐ現代にこそ、老子の思想が必要とされている。 本書では全文の現代語訳、書き下し文、原文に加え、【一文超訳】を掲載。 テーマは何か、主旨は何かが一目で把握でき、格言のように心に刻まれるので、「老子」の理解が飛躍的に向上する。 また、主要な人名や語句には懇切丁寧な注釈を入れた、現代の完全版である。 【一文超訳の一例】 「無心のすすめ(空っぽの心を守る)」 「私利私欲のない無私の人は、自分を貫ける」 「無用には大きなはたらきがある」 「少なければ得られ、多ければ迷う」 「盛んになれば、早く衰える(だめになる)」 「先に与え続けておけば、いずれ得られる」 「大国を治めるのは小魚を煮るようにするとよい」 「本当に立派な人間は愚か者に見える」