スイーツ作りは、長年にわたって培われてきたものだけあって、さまざまな決めごとや常識と称する暗黙の了解がたくさんあります。
確かに実際に作っていると、なるほどと思えることが少なくありません。
たとえば素材とお酒の組み合わせでは、ベリー類にはキルシュが合い、マロンやレーズンにはラムが合うといったセオリーがあります。
これらは、おそらく先人がいろいろ試した結果に生まれたコンビネーションなのでしょう。
言われてみると、なるほどそこはかとないハーモニーを感じます。
しかし、こうした決めごとや暗黙の了解を越えたところにも、新たな発見があります。
それをことさら強く認識したのは、本当の困ったとき、あるいは自らをとことん追い込んだときでした。
逆にいうと、追い込まなければ未知のテイストにはなかなか出合いないのかもしれません。
本書では、果実をはじめ、野菜、穀物、魚介類、飲料、はては時空を越えた世界にまでボーダーレスに遊ぶことができました。
特定の場合をさておき、スイーツ作りはとても自由なのです。
読者の皆さまも、ときには肩の力を抜いて、フリーダムにスイーツの世界に羽根を広げてみてはいかがでしょう。(「はじめに」より抜粋)