世界遺産「富岡製糸場」の創業時の動力源にして、現存する日本最古の蒸気機関「ブリュナエンジン」が復元された。物語は富岡製糸場が世界遺産登録される前、群馬県富岡市の工業人が博物館明治村(愛知県犬山市)に所蔵されているブリュナエンジンの存在を知ったことから始まる。「工業界のシンボルに」「ものづくりの大切さを伝えたい」。男たちの情熱は、地元経済界や行政を動かし、復元機は富岡製糸場が世界遺産登録された翌年の2015年に完成した。現在、富岡製糸場で動態展示されている。世界遺産のまちの工業人が困難と思われながらも果敢に挑み、3年半をかけて完成させたプロジェクトの全貌を余すところなく紹介。ものづくりの力は、誇りを生み、未来をひらく―。識者の寄稿、関係者座談会、上毛新聞掲載記事のほか、中部産業遺産研究会による詳細な研究報告書も収録した。