BL(ボーイズラブ)、すなわち男同士の恋愛や性愛が描かれた作品は、
近年のエンタメ業界で存在感を高めている。
こうしたBL作品を理解するうえで欠かせないのが、
「妄想力」を土台とする「腐の精神」だ。
そして、これは突然変異で生まれたものではなく、
日本の歴史に脈々と受け継がれてきた精神であると著者は言う。
本書は、『古事記』から『万葉集』『源氏物語』『雨月物語』といった古典文学や史料を題材に、
「腐」を軸とした鮮やかな解釈で、新しい歴史観を提供するもの。
院政期に男色ネットワークが築かれた本当の理由や、男色の闇にあった差別と虐待の精神史など、
これまで語られてこなかった日本史の本質を描き出す。