何度つかまっても牢をぬけだす怪人二十面相。今度は名前を「四十面相」とあらため、どうどうと脱獄を宣言した。秘密をさぐるため拘置所にやってきた明智小五郎は、二十面相との面会のあと、なぜか世界劇場の楽屋へ…。劇場では「透明怪人」事件のしばいが、まさに上演されている最中だった。【著者プロフィール】江戸川乱歩。1894年(明治27年)10月21日生まれ。我が国が生んだ推理小説のパイオニア。筆名は自身が敬愛した作家エドガー・アラン・ポーから取っている。1923年(大正12年)、「二銭銅貨」で文壇デビュー。1936年(昭和11年)、ジュニア向けに「怪人二十面相」を執筆。明智小五郎、小林少年、少年探偵団が活躍する同作品は、その後「少年探偵団」「妖怪博士」とシリーズ化され、国民的人気小説に。探偵の真似をする子供が急増。作品に登場する「七つ道具」「BDバッジ」といった玩具を生むなど社会風俗にも大きな影響を与えた。「屋根裏の散歩者」「人間椅子」「パノラマ島奇談」「陰獣」「芋虫」をはじめ、映像化された作品は数えきれない。晩年は日本探偵小説クラブ(現・日本推理作家協会)の初代会長、ミステリ専門誌「宝石」の責任編集者「ヒッチコックマガジン」のオーナーを歴任。後進の育成に励んだ。昭和40年(1965年)没。