あらすじ作家、藤崎京子はスランプに陥っていた。執筆中の長編小説『鮮やかな憂鬱』を書く手が完全に止まってしまった。担当編集者の井田史郎に、見捨てられたくない、だめな女だと思われたくない彼女は「小説の中のホテル暮らしという設定が、うまく想像できない」と言い訳をする。すると井田は、「それならばホテルにカンヅメにしてあげます」と提案してくるのだったが…。現実と小説の世界がリンクする、幻想ミステリー。(本作は「黄昏ホテル」をテーマとする読み切り連作小説の一篇です)