夢の中では無敵の<帝王ホリウチ>として、やりたい放題。しかし現実に帰れば、派遣ドライバーの仕事を適当にこなしながら両親と同居する、牛乳大好物のイモくさい男。やがて、あまりにも夢の世界だけを求めていくうちに、夢うつつの境界がずれていく。冒頭に引用される荘子『胡蝶の夢』さながら、黒アゲハが随所にあらわれ、堀内の夢と現実の世界を行き来し、両者の境界の危うさを露呈させる……。精彩に富む故に震撼とさせるホラー描写、サイコ・ミステリー的謎解き、脱力ギャグ、切ない恋物語と、バラエティに富んだエンターテイメント性満載……現実とは?夢とは? 心とは? 他人とは? 社会とは? と哲学させもする異色のハイブリッド・ノベル。ミュージシャン、画家としても活躍する著者 寺澤 晋吾の『夕焼けとにょろり』『七日目の蝉』『無理矢理な人たち~この素晴らしき世界~』に続く小説第4弾。表紙絵・寺澤晋吾