直木賞作家・永井路子氏の作品が遂に電子化!なんとか編集プロダクションに就職できたものの、友田なつみは、持統天皇に魅かれ、編集プロダクションの倒産、失業を機に、遂には吉野へ旅立つ。遺跡発掘をしながら、古代を肌で感じる充実した日々を過ごすなつみ。持統天皇の生きざまに思いを馳せながら、淡い恋、友人の結婚・離婚などもあり、なつみは、少しずつ“自立”した女性に近づいていく。【目次】竜のあご光る壁石と瓦華燭土の言葉峠壬申を行く星を浴びる幻を追う三〇六号室われら個族たちおわりに解 説【著者プロフィール】大正14年東京生まれ。東京女子大学国文科卒業後小学館に入社し、『女学生の友』『マドモアゼル』の編集者を務める。小学館時代から歴史小説を執筆し始め、昭和39年『炎環』で直木賞を受賞。その他にも吉川英治文学賞を受賞した『雲と風と』等多くの素晴らしい作品を世に送り出している。男性的目線になりがちな歴史人物や歴史事件を解きほぐし、その陰になりがちな女性にも焦点をあて、歴史上の人物、出来事を鮮やかに浮かび上がらせる作風は、歴史小説に新風を巻き込んだものと評価されている。また、直木賞受賞作品である『炎環』、『北条政子』などは、NHK大河ドラマ『草燃ゆる』(1979年)の原作として、また『山霧 毛利元就の妻』『元就、そして女たち』などは、同じくNHK大河ドラマ『毛利元就』(1997年)の原作としても知られている。