幼い子供たちを残して死するその無念とはいくばくのものか――時は昭和20年、第二次世界大戦も終戦間際の長崎。作者の永井隆は原爆で妻を失い、自らも被曝による後遺症に侵され、余命3年と診断される。後遺症の苦しみを忘れるかのように仕事に打ち込み、また被爆者の救護活動に明け暮れる隆。しかし、その身には確実に死の影が忍び寄っていた。子供たちと触れ合う幸せな時間。しかし、幸せだからこそ突きつけられる死の現実。「この子を残して、この世をやがて私は去らねばならぬのか!」」両親を失いながらも、強く生きて行かなくてはならない2人の子供たち。その将来を憂う父親が子供たちに残した最後のメッセージとは――。