『檸檬』に並ぶ、梶井基次郎の代表的作品。「桜の樹の下には屍体が埋まっている!」という有名な冒頭文に始まる本作は、散文詩的・幻想的なモチーフが特徴。また、話者である「俺」が、聞き手の「お前」に向けて話す台詞を、そのまま小説にする手法を用いた、著者にしては特異な形態がとられている。表題作のほか、白昼に闇を見るという青年の憂鬱、絶望を描く『蒼穹』、見るもの全てを自分の意識の中に取り込んでしまう男の悲劇を描いた『泥濘』を収録。「美しい表紙でよみたい」シリーズは、不朽の名作を美麗な表紙イラストともにじっくりと味わえます。本作の表紙イラストは、現在イラストレーターとして国内外で活動中の安那(Anna)氏によるものです。和風・ノスタルジックテイスト漂う作風が特徴で、叙情的な表情、季節感の表現を得意とする美しいイラストが、時代を経ても色あせない名作文学の魅力をアップさせてくれます。