心がざわざわして眠れない夜に、嬉しいことがあった夜に、
こんなことをあなたに話してみたいのです。
名前も知らないあなたの明日がきっとよい日でありますように──
静かで美しく、どこか懐かしいイラスト作品やマンガで知られるカシワイさん。
その独特な雰囲気から多くのファンをもつ著者が、「孤独」をテーマに描き下ろしたのが、この本、『ひとりの夜にあなたと話したい10のこと』。
清潔で穏やかな、心細くてやさしい絵を楽しみながらページをめくると、たとえば、こんな言葉たちと出合えます。
■うれしいことがあった夜はよく磨いて、宝物箱の中に仕舞っておく
いつでも取り出して眺められるように
そんな光のかけらを持っているのを心に留めて
日々をどうにか生き延びていくために
■さみしい夜は遠くのことを考える
たとえば、海のどん底に眠るクジラの骨
たとえば、天の川銀河の一粒の星
この気持ちもこの命も遠くこの星に落ちてきて
神様がまばたきしている間の出来事に過ぎない
それでもこのさみしさは確かにここにあって
それが切なくてうれしくなる
■眠れない夜は眠っている生き物のことを考える
曲がり角の家の犬車の陰で丸まる猫
牧場の羊たち春を待ち焦がれる熊
海中に立つ柱のようなクジラの群れ
その呼吸に合わせて息をしてみる
人気イラストレーターが描く、ささやかなエールのようにかけがえのないいくつかの物語を、一日の終わりにそっと繙いてみてください。